大阪地方裁判所 平成11年(ワ)290号 判決 1999年9月14日
原告① 川端悦子
<他9名>
右一〇名訴訟代理人弁護士 井上善雄
同 市瀬義文
同 川村哲二
同 辻公雄
同 中嶋弘
被告 大阪府
右代表者知事 山田勇
右指定代理人 片山靖隆
<他1名>
主文
一 被告は、原告①ないし③に対し、九八万円及びこれに対する平成一〇年三月一八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告①、②、④ないし⑧に対し、六万円及びこれに対する平成一〇年三月一八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告は、原告①ないし③、⑤、⑥、⑧ないし⑩に対し、三八万円及びこれに対する平成一一年一月二九日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告らのその余の請求を棄却する。
五 訴訟費用は被告の負担とする。
六 この判決は、第一項から第三項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
主文第一項の金額を一〇〇万円、付帯請求の起算日を平成一〇年一月二七日とし、同第二項の金額を七万円、付帯請求の起算日を平成九年六月一八日とし、同第三項の金額を四〇万円、付帯請求の起算日を平成一〇年六月二二日とするほかは主文と同旨。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二当事者の主張
一 請求原因
1 当事者
原告らは、大阪府の住民である。
2 住民訴訟
(一) 原告①ないし③は、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づいて、平成六年及び同七年の各一月から三月までの間の大阪府監査委員及び監査委員事務局職員の出張に無用・架空のものがあったから、右出張の旅費の支出が違法であったと主張して、大阪府監査委員、同事務局長、同事務局次長等の職にあった者や旅費を受領した職員を相手方として、これによる損害賠償(請求額合計三五一万四九九〇円)を被告へ支払うことを求める住民訴訟(大阪地方裁判所・平成八年(行ウ)第九三号、以下「住民訴訟一」という。)を当裁判所に提起した。
(二) 原告①、②、④ないし⑧は、平成六年四月二七日、二八日の大阪府監査委員及び監査委員事務局職員の佐賀県への出張は無用・架空のものであったから、その旅費の支出が違法であると主張して、大阪府監査委員、同事務局長、同事務局次長等の職にあった者や旅費を受領した職員を相手方として、同様の住民訴訟(大阪地方裁判所・平成八年(行ウ)第一三七号、以下「住民訴訟二」という。)を当裁判所に提起した(請求額合計一二万八五〇〇円)。
(三) 原告①ないし③、⑤、⑥、⑧ないし⑩は、平成七年四月から同八年三月までの間の大阪府監査委員及び監査委員事務局職員の出張に無用・架空のものがあったから、その旅費の支出が違法であったと主張して、大阪府監査委員、同事務局長、同事務局次長等の職にあった者や旅費を受領した職員を相手方として、同様の住民訴訟(大阪地方裁判所・平成八年(行ウ)第一四七号、以下「住民訴訟三」という。)を当裁判所に提起した(請求額合計二五八万七三四〇円)。
3 訴訟委任
原告らは、住民訴訟一ないし三を、それぞれ本件原告ら各訴訟代理人を含む弁護士らに委任して、追行した。
4 住民訴訟の和解
原告らと住民訴訟一ないし三の被告らは、大阪地方裁判所において、概要、以下の内容の訴訟上の和解をした。
(一) 住民訴訟一(和解成立日・平成一〇年一月二七日)
(1) 原告らと住民訴訟一の被告らは、住民訴訟一の各請求にかかる旅費及び遅延利息の全額である合計四〇九万五四三三円が大阪府において填補されていることを確認する。
(2) 原告らは、住民訴訟一を取り下げる。
(3) 右被告らは、右各請求にかかる損害の弁済があったことを確認し、右取下に同意する。
(4) 訴訟費用は、印紙代・使用済郵券の内七万円を右被告らの負担とし、その余は各自の負担とする。
(二) 住民訴訟二(和解成立日・平成九年六月一八日)
(1) 原告らと住民訴訟二の被告らは、住民訴訟二の各請求にかかる旅費及び遅延利息の全額である合計一四万七三三四円が大阪府において填補されていることを確認する。
(2) 原告らは、住民訴訟二を取り下げる。
(3) 右被告らは、右各請求にかかる損害の弁済があったことを確認し、右取下に同意する。
(4) 訴訟費用は、印紙代・使用済郵券の内一万五〇〇〇円を右被告らの負担とし、その余は各自の負担とする。
(三) 住民訴訟三(和解成立日・平成一〇年六月二二日)
(1) 原告らと住民訴訟三の被告らは、住民訴訟三の各請求にかかる旅費及び遅延利息の一部である合計七二万一八五九円が大阪府において填補されていることを確認する。
(2) 原告らは、住民訴訟三を取り下げる。
(3) 右被告らは、右各請求にかかる損害の弁済があったことを確認し、右取下に同意する。
(4) 訴訟費用は、印紙代・使用済郵券の内八二〇〇円を右被告らの負担とし、その余は各自の負担とする。
5 弁護士報酬の請求
(一) 右4の各和解で確認されたとおり、住民訴訟一、二の各請求の全部及び住民訴訟三の請求のうちの一部にかかる旅費は、一旦支給された後、住民訴訟一ないし三がそれぞれ提起されて追行された後に、その遅延損害金も含めて、それぞれの訴訟の被告らにおいて被告(大阪府)に支払って填補された。そして、右の各支払がされたのは、原告らが住民訴訟一ないし三を提起して追行したからにほかならない。
(二) したがって、被告は、右4の各和解により、全部又は一部勝訴した場合と同様の経済的利益を受け、将来的に右利益の返還を求められない法律的地位が確保された。
右の各損害の填補及び訴訟上の和解の成立は、地方自治法二四二条の二第七項の「勝訴(一部勝訴を含む。)した場合」と同様であるから、原告らは、被告に対し、同項に基づいて、弁護士報酬額相当額の請求権を有するというべきである。
6 弁護士報酬額
大阪弁護士会報酬規定(以下「報酬規定」という。)によれば、住民訴訟一ないし三について被告が負担すべき弁護士報酬相当額は、次のとおりである。
(一) 住民訴訟一
着手金 三五万円
報酬金 七五万円
実費 一〇万円
合計 一二〇万円
このうち、被告負担相当額は一〇〇万円である。
(二) 住民訴訟二
着手金 一〇万円
報酬金 二万円
実費 一〇万円
合計 二二万円
住民訴訟二については、請求額及び填補額が少額であることから、被告負担相当額は填補額の約半額である七万円である。
(三) 住民訴訟三
着手金 二五万円
報酬金 一五万円
実費 一〇万円
合計 五〇万円
このうち、被告負担相当額は四〇万円である。
7 よって、原告らは、被告に対し、地方自治法二四二条の二第七項に基づき、請求の趣旨のとおりの支払(住民訴訟一について一〇〇万円、同二について七万円、同三について四〇万円の各弁護士報酬相当額及びこれらに対するそれぞれの訴訟上の和解成立の日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払)を求める。
二 請求原因の認否
1 請求原因1ないし4は、いずれも認める。
2 同5及び6は、いずれも争う。
三 被告の主張
1 地方自治法二四二条の二第七項にいう(勝訴(一部勝訴を含む。)した場合」とは、勝訴判決が確定した場合のみを意味するのは明らかであり、訴訟上の和解があった場合は含まれないと解すべきである。
2 住民訴訟一ないし三の各和解は、それぞれの住民訴訟の被告らから、被告に自主的に当該旅費が返還されたことに基づくものであり、和解によってその返還義務が確定したわけでもなく、代理人間の話し合いによって返還がされたわけでもない。
3 仮に、原告らの請求に理由があるとしても、次の事情を斟酌して、標準報酬額より三割以上の減額をすべきである。
(一) 被告に返還された旅費・利息額に報酬規定を適用すると、着手金及び報酬金の合計は、以下のとおりである。
住民訴訟一 九二万八五三〇円
住民訴訟二 三万七一二七円
住民訴訟三 一八万一九〇七円
(二) 住民訴訟一ないし三は、その内容が複雑ではなく、弁論回数が少なく、審理期間も比較的短期である。また、証拠調べも、証人尋問は行われず、書証の提出のみであり、旅費の自主的な返還による和解で解決している。
4 本件請求の遅延損害金の始期は、原告らの請求時である本件訴訟の提起時とすべきである。なお、平成一〇年三月一六日付け(被告の収受は同月一七日)で、原告ら代理人弁護士の名義の請求書が被告に送付されているが、これは原告ら本人名義ではなく、代理人の弁護士名義でなされており、押印されている印影も原告個人や弁護士のものではないから、これを正式な請求とみることはできない。
四 原告の反論
住民訴訟一ないし三においては、被告の主張する弁護士報酬の減額事由は存しない。むしろ、右各住民訴訟では、それぞれの被告らが全面的に原告らの主張を争い、争点が多岐にわたる複雑な事案となっていたこと、当事者が多数であり、原告訴訟代理人弁護士も多数であったこと、訴え提起前に旅費関係書類の公文書の公開請求、住民監査請求を経ていること、審理期間が長期にわたり、重ねた期日も少なくなかったこと、書証提出以外に文書送付嘱託申立て、調査嘱託申立て、人証請求などの立証活動を要したこと、被告らの提出した書証(法令・規則)の検討に多大な時間と労力を要したこと、被告らは自主的に旅費を返還したのではなく、尋問等によって、問題とされた出張に関する事実関係の詳細が住民訴訟一ないし三の審理の過程で明らかにされるのを回避するため、返還したに過ぎないことなどの事情が存する。これらは弁護士報酬を標準額よりも増額すべき事由である。
理由
一 請求原因1ないし4の事実は、当事者間に争いがない。
二 右争いがない事実、《証拠省略》によると、住民訴訟一、二の各請求の全部及び住民訴訟三の請求のうちの一部にかかる旅費は、それぞれの訴訟の原告らが主張したとおり、一旦支給され、住民訴訟一ないし三が提起されて追行された後に、それぞれの訴訟において旅費の支給を受けたとされた職員らからその遅延損害金も含めて被告に返還されたこと、その後に請求原因四の(一)ないし(三)の各和解がそれぞれ成立したこと、住民訴訟一ないし三において、被告とされた者らは、当初訴えの却下を求める本案前の申立てをするとともに、本案についても主張された各旅費の支出の違法性などを全面的に争い、被告とされた者らが主張された旅費の返還をしたのは、原告らが、当該公費による旅行について、行程、旅行内容、目的、日数、人数、経費等を踏まえた違法性についての詳細な主張をし、大阪府に対する出勤簿の文書送付嘱託の申立て、訪問先の地方公共団体に対する依頼書・議事録・支出命令等の調査嘱託及び文書送付嘱託の申立て並びに被告ら本人尋問の申請等の立証活動をした後であったこと、右の旅費の返還がされたのは、いずれも、住民訴訟一ないし三の各訴訟の原告らが、訴訟において当該出張の事実が本当にあったのかどうか、あったとしても公務上必要なものであったのかどうかを問題とし、それらの具体的な事実関係の詳細を審理の過程で明らかにし、あるいは明らかにしようとして主張・立証活動をしたことに帰因するもので、少なくとも、被告とされた者らは、そのような事実関係等が明らかになるのを回避するために右返還をしたこと、以上が認められる。
三 ところで、地方自治法二四二条の二第七項所定の「第一項四号の規定による訴訟を提起した者が勝訴した場合において、弁護士に報酬を支払うべきとき」とは、同条の二第一項四号に基づく請求をした原告が、勝訴の判決を得て、右判決が確定した場合のほか、被告が右の請求を認諾した場合もこれに該当するというべきであるが(最三小判平成一〇年六月一六日・判例時報一六四八号五六頁参照)、必ずしもそれに限定されるものではないというべきである。例えば、右の訴訟の被告が、請求された金員を当該地方公共団体に返済(又は弁済)し、そのために訴訟を提起した者が訴えを取り下げ、あるいは、それを確認するとともに訴訟費用の分担を決定する和解をし、それによって訴訟が終了した場合であっても、右訴訟を提起した者の訴訟活動によって、指摘された財務会計上の行為の違法性あるいはそれを基礎付ける事実関係がその審理の過程において明らかになり、被告とされた者がやむを得ずに請求された金員を返済したり、又は、被告とされた者が財務会計上の行為の違法性あるいはそれを基礎付ける事実関係がその審理の過程において明らかになることを回避するために請求された金員を返済したときは、これらの関係が明らかになる限度においては、前記の場合に該当するものと解すべきである。けだし、このような場合、当該地方自治体は、訴訟が提起されたことにより確定の勝訴判決を得た場合よりも更にそれ以上のより直接的な経済的利益を得たものというべきであって、同条の二第七項がかような場合を除外しているとは考えられないからである。むろん、右のような場合は、裁判所の公権的な判断を経て訴訟が終了したわけでも、訴訟の過程で当該地方公共団体の見解が示される機会が保障されることもなかったわけであるが、そもそも、明文上予定されている勝訴判決の場合においても、欠席判決や請求原因事実に争いがないときもあり得るもので、これらの点が上記判断の妨げになるものとは考えられない。
右の観点に立って前記一、二の事実関係についてみると、請求原因4の(一)ないし(三)の各和解は、実質的には、住民訴訟一ないし三の各訴えの取下げと訴訟費用の分担についての和解であるが、各和解に先だってされた金員の各返済は、原告らの訴訟提起及び訴訟追行によって、被告とされた者らが財務会計上の行為の違法性あるいはそれを基礎付ける事実関係がその審理の過程において明らかになることを回避するためにされたものであるから、このような場合には、原告らは、地方自治法二四二条二第七項に基づいて、被告に対し、弁護士報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができるものというべきである。
四 相当額の認定
1 《証拠省略》によれば、次のとおり認められる。
(一) 住民訴訟一は、訴え提起から和解による終了までに約一年八か月経過しており、その間口頭弁論期日を一〇回経ている。住民訴訟二は、同様に約九か月を要しており、口頭弁論期日を六回、和解期日を一回経ている。住民訴訟三は、同様に約一年八か月を経ており、口頭弁論期日を六回、弁論準備手続期日を一回、進行協議期日を三回、和解期日を一回重ねている。
(二) 当事者の数は、住民訴訟一が原告三名、被告五八名、住民訴訟二が原告七名、被告七名、住民訴訟三が原告八名、被告四〇名であった。
(三) 住民訴訟一ないし三のいずれの訴訟においても、被告とされた者らは、監査請求の期間制限を徒過していること、徒過したことについて正当な理由が存しないこと(地方自治法二四二条二項)、旅行命令は財務会計行為に該当しないこと、被告とされた者らの一部について旅費の支出に関する権限がないことなどを主張して訴えの却下を求めるとともに、本案についても、各出張が必要かつ相当なものであり、裁量を逸脱するような違法なものではないと主張して請求の棄却を求め、全面的に争った。このため、原告らは、相当程度詳細な主張・反論をし、更に、立証についても、人証の尋問にまでは至らなかったものの、文書送付嘱託の申立て、調査嘱託の申立て及び被告ら本人尋問の申請等の訴訟活動を行った。
(四) 原告らは、訴訟準備及び追行のために、文書送付嘱託用の郵券、謄写料、弁護団協議のための費用として、住民訴訟一について少なくとも一一万三一〇〇円以上、住民訴訟二について少なくとも三万一六五〇円以上、住民訴訟三について少なくとも九万二三七五円以上を支出した。
2 次に、一般に、住民訴訟では、訴えの提起前に一応の資料を収集して監査請求を経なければならず、通常の民事訴訟事件より訴訟の準備に時間や労力を要するものであり、また、報酬規定の適用においては、被告に対して填補された額を報酬金算定の基礎である「委任事務処理により確保した経済的利益の額」とみることが妥当である。
3 右1、2と前記一、二の事実関係、それに報酬規定によれば、住民訴訟一ないし三についての弁護士報酬の相当額は、住民訴訟一については九八万円、同二については六万円、同三については三八万円と認めるのが相当である。
五 遅延損害金の始期
地方自治法二四二条の二第七項に基づく弁護士報酬相当額の支払請求権は、同項が「支払を請求することができる。」と規定していることからも、勝訴の確定や和解成立によって当然履行遅滞に陥る性質のものではなく、住民訴訟の原告が地方公共団体に対して履行の請求をしたときに履行遅滞に陥るものと解すべきである(民法四一二条三項)。
《証拠省略》によると、原告らは、住民訴訟一及び二が和解によって終了し、同三が係属中であった平成一〇年三月一六日付けで「請求書」と題する書面で、被告代表者知事に対し、各住民訴訟の訴訟代理人弁護士を通じて、住民訴訟一について弁護士報酬相当額一〇〇万円、同二について七万円の支払を請求し、同三についても訴訟終了後同旨の請求をする意思を表示しており、右「請求書」は同月一七日に被告に到達したことが認められる。
したがって、住民訴訟一及び二についての被告の原告らに対する弁護士報酬相当額支払債務は、右請求が被告に到達した日の翌日である平成一〇年三月一八日から遅滞に陥ったものと認められる(なお、乙一の書面の代理人名の横に押印された印影は「市民オンブズマン代表」とあるが、このことは右請求が原告ら及びその代理人の意思に基づいてなされたものと認定することについての支障とはならない。)。
住民訴訟三については、右通知が送付された時点では、いまだ住民訴訟は係属中だったのであり、原告らの被告に対する弁護士報酬相当額支払請求権も未発生であったといわざるを得ない。住民訴訟三について原告らが被告に対して履行の請求をした時点は、本件訴状が被告に送達された日の翌日であることが記録上明らかな平成一一年一月二九日というべきである。
よって、原告らの遅延損害金の請求は、住民訴訟一及び二については平成一〇年三月一八日から、同三については平成一一年一月二九日からそれぞれ支払済みまでの支払を求める限度で理由がある。
六 以上のとおり、原告の請求は主文第一項ないし第三項の金員の支払を求める限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余を棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法六一条、六四条ただし書を、仮執行宣言につき同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 八木良一 裁判官 平野哲郎 山田真依子)